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2011年3月20日日曜日

イランでの麻薬保持に関して

覚せい剤の保持で成田空港で逮捕された一人のイラン人の弁護士をしている方から以下の質問を受けました。いただいたメールとそれに答えた内容をここに書かせていただきます。
ご質問は:
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『現在イラン国籍の男性の刑事事件の弁護人を務めています。
概要としては,イランから覚せい剤を密輸入しようとして,税関で逮捕されたというものです。
イラン国内で違法薬物を取締まる刑罰法規について調査しています。

お尋ねしたいことは,以下の2点です。
①2010年(事件当時)の時点でイランで違法薬物を取り締まる刑罰法規
②イラン国内の薬物事犯の処罰の実情』
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詳細なご質問をさておき、自分の答えは以下のとおりです。
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まず、最初に研究者として、注意すべきことは以下のことかと思います。
・イランで判決に非常にあいまいなものであって、賄賂や義理でどうにでも動きます。首都と地方においても判決に大きな違いがあります。法は平等に実施されない。
・イスラム、それもシーア派の法学者がだしている宗教上の解釈は法律の隅々まで浸透しているので、「○×の宗教学者の解釈によれば」という言い方もなりたつほどである。
・8時間あたりで一人が死刑になるイランだ。人口の割合で死刑は中国よりも残念ながら上で世界一だ。
・外国メディアは出身国民に報じるために、様々なニュースを簡単にする傾向があるので、それぞれの報道に頼らないほうが望ましい。

麻薬取り締まり法で読んで理解した内容を簡単にまとめます。
・被告人の説明(イラン国内ではアヘンや大麻につき取締りはされているが,初犯であればそれほど罰則が厳しくなかったので,今回も軽く考えてしまった)は一般的にイランで信じられているものかと思います。これは、私の一般的な理解と同じです。
しかし、法律を少し読んでみる以下のことがわかりました。
・麻薬中毒者は病人に近い扱いを法的に受けています。治療をしているか否かは判決に大きく影響を与えているようです。
・アヘンの使用も所持も法的にそれほど問題にならない。
・ヘロイン31グラムを所有するだけで死刑になるとのことで、回数に関係ありません。覚せい剤の所持もヘロイン同様のものとなる。
・麻薬の所持と販売は大きく違うとのこと。
為替相場の変動で計算は難しいですが、120リアルは1円になる。日本までの飛行機代は10万円ほどであることを考量して、日本の新聞で書かれている罰金のことをお考えください。