アルジェリアでの出来事でニュースを解説するとき、フランスはアルジェリアの宗主国だった、という簡単な解説がつく。しかーーーし、宗主国の意味はなにか?誰が、どこをどのように支配していたのか?その土地に住んでいた人々はなにを考え、生きたのか、その子孫は今もそこに住んでいるのか??両親や祖父母らから聞いた話はどうなるのか?今の世代に憎しみはないのか??専門家らの浅知識と理解に、怒りしかない。
解説(?)をする専門家らは、「イスラム原理主義の武装勢力」という。一般の日本人でもある程度知識のある中国のチベットについてもそのような簡単な解説でいけますか??歴史、それもわずか50年も前の歴史だ。アフリカの地図を見れば分かるように、まっすぐな国境線がほとんどだ。アルジェリアは130年以上もフランスの支配下にあった。人々の住むところは決まっていて、人種で街の西と東に住み分けられていて、道路を歩こうとしても身分証明書を持ち歩かないといけなかった。
その街に住んでいた人たちの子供は今、アルジェリアやマリに生きている。侮辱されていた記憶は憎しみの記憶として残っている。
彼らは反抗声明で「旧宗主国」がこの土地を今も空爆しているから「フランスは憎い」といえば世界の他の人たちに通じるのに「イスラムの国に足を入れた」と言ってしまう。本人らもそこまで教養はないはずだし、これまで会ったことのある人たちも皆、イスラム教徒だっただろうから「よそもの=イスラム教でない人」となってしまう。悲しいことを「宗教の名」で続けてしまう。
日本でフランスにあこがれる人が少なくないかもしれない。「おフランス」と言ったり、思想や自由、芸術の国と思ったりする人も多いだろう。この映画を見たらまったく印象が違ってくる。
イラン人の私もアフリカの苦しみをこの映画で理解した。
イランで「ありがとう」を言うときに「メルシー」というフランス語を使ったりするし、フランスの印象はいい。19世紀以降の歴史でフランスはイランに悪影響を与えていなかったためだ。イランはすぐ北のロシアに土地を取られたり、イギリスに原油の支配権を取られたりしていたのに、フランスは王らの遊び土地だったり、地詩人らが考えるためにエッフェル塔を眺めたりしていた。だから、普通に「メルシー」と使ってしまう。アルジェリアの状況を理解しようと思えば、「アルジェの戦い」をぜひみてください。